お名前:瀬川 文子(せがわ ふみこ)
<職業>
日本プロフェッショナル講師協会TM認定講師
コミュニケーション講師
レジリエンストレーナー
<保有資格>
日本プロフェッショナル講師協会TM認定講師
ゴードンメソッド親業訓練シニアインストラクター
価値観ババ抜きインストラクター
J R E Aレジリエンストレーナー
ポジティブ心理カウンセラー協会認定レジリエンスカウンセラー
<著書>
「職場にかすベストコミュニケーション」日本規格協会
「ママがおこるとかなしいの」金の星社
「ゴードン博士の親になるための16の方法」合同出版
「ほのぼの母業 のびのび父業」元就出版
<実績>
日本規格協会・日能研・京王電鉄・東日本旅客鉄道株式会社・京王重機・セメント協会・京浜急行電鉄・株式会社S U B A R U・東芝エレベーター・ 近鉄車両エンジニアリング株式会社・ 愛知製鋼株式会社様・出光興産・南房総市P T A連合協議会・千葉県保育協議会、他多数
<メディア>
BSフジ「プライムニュース」生出演(2014年8月20日)
月刊誌「STORY」インタビュー記事記載(2015年8月号)
リクルート「保護者のためのキャリアガイダンス」インタビュー記事記載
<自己紹介>
1974年に日本航空に客室乗務員として入社し、国際線に14年間勤務。最後の5年間はパーサーとして中型機、小型機の客室責任者として乗務し、リダーとしての経験を積みました。結婚を機に退職し、コミュニケーションについて学び、ゴードンメソッド「P.E.T. 親業」の指導員資格を取得。コミュニケーションに関する講座、講演、研修を25年間、提供し続けています。通算1200回以上登壇しています。
幸せを感じられる社会の構築に貢献することが私のミッションです。
現在は、日本プロフェッショナル講師協会認定講師として、「コミュニケーション」「リーダーシップ」「レジリエンス」「子育て」「アンガーマネジメント」「価値観探究」など幅広いテーマで講演、研修を行っている。
講師業としての活動とレジリエンスで必要な5つの力
上村:本日はよろしくお願いします。まずは現在されている活動について教えていただけますか?
瀬川:コミュニケーションのトレーニングプログラムのインストラクターの資格を活かして、講座、講演、企業研修などをしています。その他にもコミュニケーションに関連することを色々やっています。
例えば、自分のことを話すにしても、相手のことを受け取って聞くにしても、そこに価値観がすごく大きな影響を与えていると思っています。そこで価値観ババ抜きという少しユニークなインストラクターの資格も持っていて、そのようなワークを提供したりもしています。
あとはレジリエンストレーナーの資格を持っています。これからの時代に必要な力ってやはりレジリエンスだなと思うんです。そしてレジリエンスってトレーニングで身につくんですよ。そのトレーニングの一つとして人間関係力っていうものも含まれているので、私の色々な活動は全部コミュニケーションを中心にちょっとずつ枝葉がついている感じですかね。そんな感じで講師活動をしています。
上村:ありがとうございます。私も価値観ババ抜きは何回かさせてもらったことありますけど面白いですよね。改めて言語化できるのがすごくいいなって思いました。
瀬川:そうそう、言語化していくっていうのがやっぱ大事ですよね。
上村:ここで言うレジリエンスとはどういう定義でしょうか?
瀬川:一言で言うと「折れない心」という意味合いですね。レジリエンスの定義そのものもすごく幅があって、全部で100以上の定義の仕方があるらしいです。私が資格を取った日本レジリエンスエデュケーション協会では「自分にとっての逆境や試練から立ち直る心の力」と定義をしています。
それこそ個人差はあるけれども挫折の体験をしたときに、できるだけ早く底打ちして立ち上がって元に戻る力、それをきっかけに成長する力というのは、ある程度トレーニングで普段から筋肉みたいに鍛えることできます。立ち上がり方が早くなるんです。だからV U C Aの時代と言われる昨今、これからの若い人たちには本当に大事な力だと思います。
上村:確かにそうですね。
瀬川:その力として日本レジリエンスエデュケーション協会では5つあげています。
「自尊心」「自己効力感」「感情調節」「楽観性」そして「人間関係」この5つの力を色々なワークをすることで鍛えようというプログラムを提供しています。
今の若い人たちは自尊心がすごく低いみたいです。特に日本の子どもたちは世界と比べると自尊心が低い傾向があると色々な調査結果が出ています。
その原因の一つには、やはり学校教育とか親の育て方がすごく影響していると思うんです。
私がコミュニケーショントレーニングを学んだのは元々、私自身が親として子供への関わりに失敗したことからなんですよ。本当に親の子供に対するコミュニケーションの取り方で自尊心も育てることができるし、逆に潰してしまう事にもなると実感しています。そういう意味では親がコミュニケーションのスキル、基本的な考え方をきちんと身につけておくという事は本当に子育てに大きく影響するというのを自分の過去を振り返ってとても思います。
子育でのすれ違いと本との出会い~子供に愛が伝わっていますか?~
上村:大事ですよね。今のお話で親の教育が大事というところがありましたが、そこに至るまでにどのような事があったのか、今のお仕事に至るまでに何をされていたとか、そこでどのような経験をされてきたのかお聞かせいただけますでしょうか。
瀬川:はい。そうですね。元々、私前職は日本航空の客室乗務員で国際線を14年間も飛んでいました。最後辞めるときにはパーサーまで行っていたので、かなりキャリアを積んでいたにもかかわらず、結婚を機に退社したんです。
なぜ退社したかっていうと、結婚しようと思った相手の男性が再婚で二人の娘を連れている人だったんです。だから私は初婚だったんですけど、結婚したその日から親としての役割も果たさなきゃいけなかったっていうことで仕事を辞めざるを得なかったんですね。でも今考えると夫が仕事やめて夫が子育てするっていうのもありだったかもしれません。
なんかステレオタイプ的に私がお母さんだから自分が仕事辞めて家庭に入った方がいいのだろうなって思い込んでいたんですかね。それをきっかけに仕事をきっぱり辞めて家庭に入ったというのがスタートです。だけど、やはり積み重ねの信頼関係が全くない状態での子育ては本当に難しかったです。すでに色々な価値観や躾を受けて、ある程度その子の生き方みたいなものが半分出来上がっているのに、突然、全く違った価値観を持った人と一緒に暮らすのは子供にとってはストレスですよね。
上村:その時お子さんは何歳だったんですか?
瀬川:上の子が小学校六年生、下の子が小学校一年生でした。だから上の子は思春期に入りかけていました。まぁ難しい時期ですよね。
上村:そうですね。
瀬川:死別じゃなくて離婚しての再婚でしたので、やはり娘にしてみたらお父さんを取られちゃったみたいな嫉妬みたいなものもあったのかなと思うんですよ。そして、お父さんが母親の役割も担っていたので、子供達はお父さんが大好きなので、心境は複雑だったと思います。幼い分、下の子はお母さんという存在に期待があったので、私に懐くのが早かったんです。最初からママとか呼ばれました。私もビックリしました。でも上の子はやっぱりお母さんとの思い出も記憶に残っているので、私に対してはちょっと抵抗感があったのだと思います。思春期も重なっていたし、お父さんのことが大好きだから、お父さんを取られちゃったみたいな多分複雑な心境があったのだろうなとは思うんですね。
そして中学生ぐらいまでは私の言うことも「こうした方がいいんじゃない?」「こうするべきよ」っていう躾だとか考え方の部分も受け入れいたのですが、だんだん成長するにつれて、あれこれ口出しする私を「もううるさい!」っていう感じになったんです。
私がどちらかっていうと、完璧なお母さんをやらなきゃいけないって自分に責任を感じていたのでいい子にしなくちゃ、きちんと育てなきゃいけないって、いう思いがとても強かったんですよ。よくある新任リーダーと一緒ですよね。
責任の罠にはまっちゃったっていう感じですね。だから「あぁしたらダメ」「こうしちゃダメ」「こうする方がいいに決まっているでしょ。私の方が大人で色々な経験しているのだから」「私の言う通りにしては間違いないのだから言うことを聞きなさい」という感じで一方的に私のやり方とか価値観を押し付けちゃったんですよね。
それがこうだんだん積み重なって、高校生ぐらいになった時に凄く反発してくるようになって「ほっといて!」みたいな感じになっちゃったんです。
本当に私にも思いがあって「一生懸命やっているのに何で分かってくれないの?だったらもういいよ。好きにしたら!?」みたいに私もちょっと投げやりになっちゃった時期があって。それで彼女の方も「もううるさいからほっといて!」ってなって、同じ屋根の下に住んでいるのに本当にまともに口聞かないみたいな時期がちょっとあったんですね。
でもやっぱりそれは良くないなっていうのはすごく思っていたし、下の子に対する影響もあるし、結婚して一年後に私も息子を生んでいるので、息子の教育上もやっぱり良くないし、色々なことで悩んでいたんですね。
瀬川:もう本当に真っ暗な、どこに出口があるのだろう?というような感じで凄く悩みながらも、このままじゃいけないっていうのが常に頭の中にあったんです。でもどこからどうやってそれを改善したらいいのか?本当に出口が見つからない感じで悩んでいたんですよね。
そんな時にゴードン博士のコミュニケーショントレーニングに出会ったんです。
それは本からでした。「子供に愛が伝わっていますか?」という本です。日本ではゴードン博士のプログラムって「親業」って呼ばれているんですね。その「親業」を日本に紹介して、そしてそれを広めるための組織を立ち上げたのが、ゴードン博士の「親業」(大和出版)の翻訳者の近藤千恵さんです。その方が書いた本でした。
たまたま本屋さんでこの本に出会ったんですけど、題名に引かれました。「子どもに愛が伝わっていますか?」ですからね。もう、ぐさっ!ときたわけですよ。私の愛は伝わってないのだろうなぁって思ったので、手にとって読んでみる気なりました。親業という言葉も知らなかったし、そういうトレーニングプログラムがあるっていうのも知らなかったので、本の内容を読んで本当に目から鱗が落ちる思いで、ちょっと救われた気もしたんですね。
「私は愛情が足りないダメな母親だ」ってすごく自分のことを責めていたんですけど愛情が足りなかったのではなくて愛情の伝え方を間違っていたということに、この本から気がついたんです。
愛が愛として伝わるような伝え方も必要だし、相手の思いをきちんと受け留めて聞くこと愛につながるのだということをこの本を読んで気付かされたんです。トレーニングがあるって書いてあったので、じゃそのトレーニングをぜひ受けたいと思って門戸を叩いたのがきっかけでした。娘と関係回復のために謝ることから始めました。
上村:なるほど。
謝ることから始めたコミュニケーションと娘からの嬉しい言葉
瀬川:このトレーニングを受けて、本当に自分のコミュニケーションの取り方を反省したんです。
別に娘が憎かったわけじゃないし、私なりの愛情があって色々なことを言っていたわけですよ。「絶対こっちの方がいいよ」「 こうした方がいいよ」っていうのは、ある意味おせっかいでもあるのだけど、私なりの愛情だったんです。でもそれがうまく伝わってなかったし逆に相手を傷つけるような言い方をしていたのだなっていうことにトレーニングを受けて、本当に目から鱗が落ちたんです。
それで娘に話をしたんです。「実は今私こういう勉強していてね。気がついたことがたくさんあるの」と。別に娘を傷つけたかったわけでもないし、私なりに一生懸命だったのだけど、そのやり方、伝え方が間違っているっていうことがわかったから、謝りたいっていうことでごめんねっていうところから始めました。
実はこれを学んでいた時には、娘は高校中退して家を出て、自立していたんですよ。
一回家を出ちゃったら、やっぱり私との関係が悪いから家に寄りつかないっていうか帰ってこなかったんですね。話したいことがあるからと連絡して、外で会って謝ったんです。
それですぐに仲良くなったわけじゃないんですけど、それがきっかけで娘もちょっと気持ちがほぐれたのだと思います。
その時に言ってくれた言葉が「私ね、別にお母さんが継母だったから反抗していたわけじゃないよ。高校生ぐらいの時って誰でも反発するんじゃない」ってさらって言ったんですよね。いやー、大人だなと思ってね。そういう面はきちんと見えてなかったなっていうのも反省しました。
絶対、傷ついていることもいっぱいあっただろうし、私に言いたいこともたくさんあったのだろうけど、そういう大人の対応ができる優しい子なのだなっていうのを、その時に改めて感じて、申し訳ないことしたなっていうふうに思いましたね。私は一体この子のどこを見ていたのだろう。できないことやらないことばっかりに目を向けて注意していたのだなと。できているところとか、人をこう思いやるような、そういう気持ちの部分はきちんと見てなかったし、気がついてなかったなっていうのにも気がついて大いに反省したっていう感じですよ。
それをきっかけにね、娘が家に帰ってくるようになったんです。
上村:そうなんですね。
瀬川:一応独立はしていたんですけど、帰ってくるようになって、最初のうちは照れくさいから友達と一緒にご飯食べに行きたいのだけどいい?みたいな。友達を連れてきてうちに帰ってくるみたいなことから始まって、だんだん色々と普通に話ができるようになってきたんです。そして一番人間関係を取り戻したのは、彼女が結婚して初めての出産の時に里帰り出産を選んでくれたんですね。それで、本当に久しぶりに同じ屋根の下に三か月ぐらい一緒に住んだことで大きく関係が変わりました。
その時にね、色々な過去の修復ができたんですね。お互いに思い出を話したんです。「あの時、こんなことあったよね」「あの時ってどんな気持ちだったの?」とかね。そんな話をできて、本当に本音で率直に「私はこういう気持ちだったのだよ」とか。娘は「えぇ!?私はこういう風に思っていてさ!」みたいな感じで、本音で話ができたんです。
その時間もすごく良かったけど、子供を産んでから彼女が母になったことで、ものすごく成長したのだなっていうのも感じました。その時に娘からもらった言葉「お母さんってすごかったのね。すごい人だったのね」に感動しました。
上村:嬉しいですね。
瀬川:「だってさ、お母さんが初めて子供を産んだ時って、もうすでに私たち二人の大きい娘がいたわけじゃない。私、今この子の一人の面倒を見ることで精いっぱいなのにお母さんは私たちの面倒も見ていたのよね?」って言ってくれたんですね。「すごいよね」って言ってくれたのが本当に嬉しかった。
上村:いいですね。
コミュニケーションを教えるようになった理由と講師をしていての喜び
瀬川:コミュニケーションを変えるにはスキルも必要ですよね。根底にある考え方も重要ですけれども、スキルを知っていることでやっぱり、人との関係ってこんなに変わるんだなって実感しています。私は、コミュニケーションの取り方が変わったことで、人生が変わったんです。なので、これは本当にたくさんの人に伝えたいと思いました。それで自分が学び始めてから一年半後ぐらいには教える資格取っていました。それはどうしてかっていうと、自分のものにしたかったです。学んだことを忘れないためには、自分が人に教えるっていうことが一番近道だっていうのを他のことでも実感していたので「これは絶対に資格を取って人に教え続けよう」「それで、自分のものにしよう」と思いました。
上村:自分のものにしたかったのはどういう理由からですか?
瀬川:学んだことを忘れないようにするためですね。一番上だけじゃなくて二番目の娘との関係ももちろんもっといいものにしたかったし、息子との関係もいいものにしたかったのでこれは本当に考えなくてもできるようになるぐらい自分のものにしようと思ったんです。
上村:では講師として教える事を始めた発端としては、ご自身が家族や周りの人たちにそのいいコミュニケーションし続けるために忘れないためにという事であって、こういった素敵な考え方を多くの人に伝えようっていう思いからではなかったということ?
瀬川:それもありますが。一番根底にあるのは、自分が身につけたい。そこでした。
でもやっぱりこんなに素敵なプログラムだったら色々な人の役に立つから伝えたいっていうのはもちろんありました。だけど、一番は自分が身につける、そこが大きなゴールでした。
上村:講師をされて26年の中での何か大きな経験、出来事、印象に残っている事ってありますか?
瀬川:もういっぱいありますね。だって、もう講座受講してくれた人が一体何いるんだろう?コンスタントに講座も開いていたし、講演で話をしたりもするし、講演の参加者も入れたら何千人、著書の読者も入れたらもっとたくさんの方に届いているかなと思います。
やっぱり、その関わった人たちがこういう変化がありますよとか、人生こういうふうに変わりましたという報告とかがあったりするわけですよ。
本当に親子関係が劇的に変わった人もいますし、それからご夫婦の関係が変わったっていう人もいらっしゃるし、親と折り合いが悪かったのだけど、自分が学んだことで親の気持ちも分かって親と上手に話せるようになったっていう人もいます。それとすごく嬉しくて印象に残っている事は受けてくださった方もものすごく役に立って子供との関係も本当にいい関係になったので、これはやっぱり子供にも学ばせたいって言って、大学に入る時のお祝いに講座を自分のお子さんにプレゼントして私の講座を受けさせるっていう人が何人もいたんですね。
後は成人式のお祝いにとか、親になる前にとか、そういうけじめの時に講座のことを思い出してくださって「講座開いてください」って頼まれたり、現役の高校生に教えたりしたこともありますね。
上村:いいですね。まさに私も今行なっている学生と社会人の対話の取組のところでも瀬川さんにも高校生に話してほしいなと思いました。
「あり方」と「スキル」
上村:コミュニケーションには「スキル」がとても大事という言葉がありましたけども、多分そのスキルの前にやっぱりまず「あり方」の話もあると思うんですが、「スキル」と「あり方」の関係についてはどのように考えていますか?
瀬川:ゴードン博士の根底にある哲学は「人は一人一人考えや思いも違うからやっぱり相互に分かり合うことが大事」「当然、考え方や価値観も違うから対立が起きる。その対立をどう解くかで人間関係は大きく変わる」「民主的な話し合いをする」ということがゴードン博士にとっては大事な哲学だったんです。
親子関係で親が子どもにいう事を聞かせる力を持っていたとしても、その力を使わずにきちんと子どもと話し合って、対立が起きたときに双方が納得する解決策を話し合いによって見つけていくことが子どもの成長にとって大事です。そのために、自分の思いや考えを相手を傷つけるような言い方じゃなく、相手にわかりやすく伝えるスキルと相手がどう思っているかっていう本音をきちんと聞ける聞き方のスキルと両方が必要です。話し合いをするためにスキルを身につける。根底には「問題所有の原則」という考え方があります。このメソッドではその人の悩みや問題っていうのはその人に所有権がある、だからその所有権を勝手に取り上げて、私が解決に乗り出すっていうことは、相手は自分で解決できる力を持っているのにそれを信じていないということになるし、その人自身のあり方みたいなものを尊重してないことになる。だから他者の問題は取り上げてはいけない。その人が自分でその悩みや問題を乗り越えていけるように支援するだけでいいんです。その支援の仕方っていうのは丁寧に話を聞くことなんです。
逆に自分が問題を持つ場合、例えば相手が言っていること、やっていることに対して嫌だなとか困ったなと思った時にはそれは自分にその問題の所有権があるから自分が解決していく責任があるという考え方ですよ。
上村:なるほど。
瀬川:だから、それは率直に相手に「あなたがやっていること、言っていることに対して私は違う考えを持っていたり、こんな気持ちになっていたりするんですよ。なぜなら、こういう理由があるからです。」という伝え方をしていくことで、相互理解を求めていくというやり方です。それが相手を尊重するということだし、自分も尊重するということなんです。相手も大切だけど、自分のことも大事に思っているということです。
上村:自分を尊重する、相手を尊重する、相手を信じる、いいですね。
上村:相手のしていることに嫌だと言うって勇気がいるじゃないですか?
どうしても引っ込んじゃうでしょ?言わずに済まそうかな?これ言ったら嫌われるかな?とかね。相手を傷つけるかもって変に遠慮して、言わない選択ももちろん場合によってはあると思うんですよ。でも自分が言わないことでいつまでもその問題は解決しない場合もあります。相手は私を困らせようとして何かしているわけじゃない。相手は欲求に従って何か行動したり、言いたいことを言ったりしているだけなんです。でも、そのことが私にとっては私の欲求の妨げになっているなら、それを正直に言わない限りテレパシーじゃないんだから相手には伝わないですよね。
「あなたがやっていることで、実は私こんな影響を被ってこんな風に困っているんです」と伝えないと伝わらないですよね。
自分の正直な気持ちを伝えて、初めて次のステップにいけます。「私が言ったり、やったりしたことがあなたに迷惑をかけていたんですね。でも私は私でどうしてもこの道を行きたいんですよ。あなたとはちょっと考え方違うかもしれないけど」と相手も本音を言ってくれればそこで対立が起きても正直にお互いが本音を語ることでようやく「何が違っているのか」というのが見えるわけじゃないですか?
上村:ここでようやくテーブルに乗ると。
瀬川:そうテーブルに乗るという感じですよね。だから自分から正直にならないと相手が考えていることも見えないのでやっぱ勇気を出して伝えるって大事なことだなって思います。
上村:「これを言ったらどうなるだろう」とかって、「嫌われたらどうしよう」っていうふうに自分に矢印が向いているんですよね。そうではなくて嫌われる事より、相手にとってどうなのかっていう視点で考えると勇気や思いやりが出てくるなぁっていうのが最近私も感じます。
瀬川:言ってあげないと気がつかないことってたくさんありますよね。だから言ってもらえることはとてもありがたいですよね。
上村:本当にそう思います。そのことを知ってから私も仕事や日常の振る舞いにおいても周りの皆さんからフィードバックをリクエストできるようになりました。お相手との信頼関係が出来ていてその方のあり方、パーソナリティも分かっているから言えるというのもあります。「愛ある批評家」っていう言葉がありますけど。きちんと愛を持って自分のことを指摘してくれる方が近くにいるっていうのとてもいいなというのは本当思います。
瀬川:そうですよね。ただね、その愛の表現の仕方がみんな下手なんですよ。
上村:なるほど。
瀬川:だからスキルが必要ということなんですよ。
上村:そうか。「あり方」で言いますと瀬川さんがお子さんに対して「あり方」として愛しているはずなのに全然伝わらないっていう経験はまさに「スキル」が必要だったってことだったんですね。
瀬川:そうなんですよ。上司と部下も一緒だし、これから若い人たちが社会に出て働いたときに上司から色々なこと言われると思います。でもその根底には多分、「こいついじめてやろう」とか、そういうパワハラ的な人って中にはいるかもしれないけど、あんまりいないと思うんですよ。根底にあるのはやはり「この人育てよう」とか「良くしてやろう」と思って言っているのだと思うんです。だけど、その言い方が一方的に相手を責めるような言い方をしてしまうからパワハラって言われてしまうんですよね。そして受け取る側もそういうふうにパワハラだって受け止めてしまうんですよね。
上村:そうですね。一方通行なコミュニケーションですよね。
瀬川:そう、一方通行のコミュニケーションになってしまうんです。やはり相互理解にならないとせっかくの愛も愛として伝わらないです。
今の若者へメッセージ~失敗を恐れずに~
上村:本日の話の中で「本音で話をできる場って大事」ということがありましたけれど、今の学生の方ってこの数年、コロナやリモートの浸透、SNSの発達等でコミュニケーションにおいて昔とは違う部分もあって、対話という部分も色々と変化しているのかなというふうに思うんですが、普遍的に大事なものは変わらないのかなと瀬川さんの話を聞きながら感じました。
上村:今の若者、特に高校生、大学生というこれから社会に出ていく人に何か伝えたいことを聞かせてもらってもいいですか?
瀬川:やっぱり失敗してもいいからきちんと自分の思っていることや考えていることを言語化するって大事だなと思いますね。そこで、一時的に関係が悪くなるっていうこともあるかもしれないけど、でも言わないことで悶々とずっとそれを抱えるよりは、健全だと思います。言う事で相手から抵抗や反発があったとしても、自分の考えていることを思っていることはきちんと言えたっていうのがやっぱり自信になるような気がするんですね。ただし、相手を傷つけるような一方的言い方ではなく、私を主語にした自己表現で!
上村:確かにその通りですね。
瀬川:だから、後悔しないようにやっぱり思っていること、感じたことは言葉にして伝えてみるっていうことが大事だと思います。それに対して相手からアクションがあったら、それはやはりきちんと受け止める覚悟もいりますよね。自分は今言いたいことを率直に言った訳だから、あなたもきっと言いたいことありますよねっていう。そういう心持ちで、相手の反発や抵抗にもきちんと耳を傾ける覚悟を持つというのは大事なことかなと思いますね。
上村:なるほど。それはありますね。
瀬川:なかなか難しいことなんですけどね。でも一度でもそういう体験ができると、自分に自信が持てるようになるんですよ。きちんと自己表現ができるようになると自尊感情が高まるんです。「言いにくいこともきちんと僕は言えた」っていう自信になります。それから自己効力感も高まります。「やればできるんだ」っていうね。そしてそれはやはり日々の生活の中で、繰り返すことで自尊感情とか自己効力化を鍛えることができるんです。これがレジリエンスにつながるわけですよ。
上村:冒頭のお話でありましたね。自尊心、自己効力感、感情調整、楽観性、人間関係。
瀬川:そう。それでね、感情調節っていうのは、その物事の捉え方なんです。出来事は必ず中立なんですよ。出来事にいいも悪いもないんです。それに意味付けするのは私なんです。だから、その意味付けを俯瞰して見られるってすごく大事なことだと思ですね、例えば挨拶したけど相手から挨拶返ってこなかったりすると、あいつ俺のことを無視した。だから腹が立つっていう感情になるわけじゃないですか。でも、無視したっていう風に捉えているのは私なんですよ。事実は挨拶したけど返事がなかったっていうだけのことなんですよ。それにどういう意味付けをするかっていうのは、私の勝手なわけですよね。
無視したって捉え方をしちゃうと、やっぱ感情も違ってきますよね。だけど無視じゃなくってもしかしたら聞こえなかったのかも?という捉え方ができたとしたら感情違ってくると思いませんか?
上村:違ってきますね。
瀬川:そういうことを繰り返しやっていくことによって自分で少しずつコントロールできるようになるんですよね、捉え方を変える、それが感情調節なんです。
楽観性についてですが、楽観性っていうとどちらかというと元々生まれ持った気質みたいなイメージする人もいると思いますが、レジリエンスで言う楽観性は「バランスよく見られる」「俯瞰して見られる」ということなんです。ネガティブなことだけに目を向けないでポジティブな面もあるというバランスで見るという力が楽観性なんです。
冒頭にお話しした5つの力は本当大事だなと思います。
上村:楽観性の話で言うと私は昔からネガティブ思考だったんですけど、一時から楽観思考になりました。それはどうしてだろう?と思ったんですけど、私の中でも先ほどから言葉にあった自己効力感とか、人間関係みたいなところが満たされてきたことによって、他のところに対しても相乗効果的にポジティブな考えができるようになったんだって、瀬川さんのいくつかの言葉を聞きながら、つながりを感じていました。
瀬川:みんなつながっていますよ。自尊心も自己効力感も感情調節も5つの力は全部どこかでつながっている感じですよね。やっぱり得意不得意があるので得意なところから伸ばしていくと全体も上がってくる感じです。
上村:感情調節のところ、私も今は「もしかしたらそうなのかもしれない」「そうだとしたら」という視点で考えるようにしています。もう1つ「難しいって考えるのではなくて、慣れてないだけって考える」っていう言葉を教えてもらって、その言葉はとてもいいなと思ってかれこれ5年程、意識して実践しています。
瀬川:なるほど、素晴らしい。
上村:そうやって考えると、いつも「まだ今日もできなかったな」とか「人と比較して自分まだまだだな」と思ったりするようなシチュエーションでも「そりゃそうだな。まだ慣れていないだけだから」と思えるので、そうなったらもう前に進むだけですからね。
瀬川:そうですよね、前向きになれますよね。だからビジネスシーンでの鍛え方ってそういうことなんですよ。日々の生活の中でそうやって力をつけていくっていう感じかな?
瀬川:そのためのワークもいっぱいあるんですよね。いいこと探しもそうです。いいことを毎日三つ書き出して記録しておくと脳がポジティブなことを探すようになるとかね。
それと若い人は色々な人と話すということが大事だと思います。でも最近の若い人は人目をすごい気にするって感じるんです。最近の記事で、高校生は人前で褒められることをすごく嫌がるというのを読みました。
人の目が気になるから「あいつ褒められちゃってさ。みたいに思われるのが嫌だから、人前で褒めないでください」という反応するらしいですよ。とにかく人目をすごく気にしているみたいです、若い人達って。もちろん全員じゃないだろうけど、そういう傾向があるみたいです。だから人目を気にせずにやっぱり思ったことをきちんと言ったり、やったりして失敗するのはすごくいいと思います。失敗は辛いですけどね。
上村:辛いですよね。でも高校生・大学生だったら親に対して進路の話や自分はこんな夢があってこんなことしたいみたいな話もする機会あるでしょうし、好きな子ができたらきちんと思い伝えるっていうところもありますしね。
瀬川:そうそう、大事。好きな子できたら思い伝えるって大事ですよね。伝えない限り伝わらないですものね。恋は成就しない。よく、若い子にはそういう話します。自己表現って大事だよって。好きって言えないとガールフレンドできないよとかね。そして言えたっていうのが自分の自信にもなるんですよ。
上村:私も言わないと自分が後悔するなと思って玉砕覚悟で言って実際に玉砕してもすっきりしたし、そこでおっしゃっていた通り自己効力感のような自分に対してよくやったっていう気持ちが沸き起こった事を思い出しましたね。
瀬川:自己表現って本当そうなんですよ。自己表現って本当に自分に自信がつくんですよ。「言えた!」っていうね。大事だと思いますね。
上村:言えたけど上手くいかなかったときも感情調節をして「上手くいかなかったな」で終わるんではなくて、言えた自分をまず褒めようっていうふうに言葉を自分にかけてあげるのが大事ですね。
瀬川:そこ大事ですよね。若い人に言いたいことって言ったらいっぱい失敗してって事ですね。私なんか失敗だらけですし。でも子育てで失敗したからこそ今があるんですよね。
これ最初から上手く出来ていたら多分こんな風に一生懸命コミュニケーションについて考えようと思わなかったし、上手くいかなかったからこそこのような学び、考え方に出会ったんです。人生変わりましたよ。
上村:失敗するからこそ謙虚になるというのもありますよね。
私はずっと成功ばかりしていた人生ではないから成功ばかりの人生は分からないですけど、ずっと成功しかしていなかったらやはり驕りができたりとか、自分はすごい人間だって思ったりして周りに対して謙虚になれないような気がするなと思いました。だから本当に失敗はありがたい経験だなと思います。
瀬川:だからいっぱい失敗してくださいって思います。思ったことをやってみて、若いうちにいっぱい失敗すると後でご褒美いっぱい来るよって背中を推してあげたい。
行動する事で点と点が線になる
上村:そうですよね。ご褒美というと、そうやって色々な失敗や経験をしていくと素敵な人たちと出会えて、そういった失敗をしてもホールネスな温かく受け入れてくれる場所に今、入れているなと思っています。そういう素敵な人たちと出会うためにもいっぱい経験していかないといけないなって思いましたね。それがご褒美だなって思いました。
瀬川:そう思います。でもね、年を重ねてきたからそういうこと言えるのよね。若くて渦中にいる人はなかなかそう思えないのだろうなって思います。
上村:私ももうすぐ40歳になりますけど、孔子が昔「人は四十にして惑わず」と言っていますよね。まだまだ惑ってばかりですが40歳になってある程度冷静に見えたりとか、こうやって振り返ったりすることが出来ますけど、確かに18歳前後の時はこうやって整理できなかったとは思います。
瀬川:そうですよね。私も自分に何が向いているかも全然分からなかったし、自分のそれこそ強みとか価値観も整理できてなかったから、若い頃はずっとモヤモヤしていた感じがします。
でもモヤモヤしながらも興味持ったら何でもやってみるということを繰り返してきました。それが後でそれこそ点と点が線につながった感じです。
私、日本航空にいたことも今の講師にとても役立っていると思っているんです。日本航空にいた時はどちらかというとサービス業だから大変なことの方が多かったんですよね。
仕事の内容的には肉体労働が多かった感じでしたし、時差もきつかったですし。でもたくさんの人の前に出ても怖気づかないというのはサービス業でお客さんを相手にしていたからだなと思います。それから、その後も色々なことやったんですよね、興味の向くままに。精神世界みたいなところにも興味があったし、そこから心理学に興味が持てたりとか興味があることを少しずつ実行に移してみたり、かじったことがやがて全部線になって繋がって今に活きているというのはとても実感しています。
上村:本当にすごい実感されたのだなって今言葉に力強さを感じました。
瀬川:本当に無駄なこと何にもなかったなって。やってきたこと全部つながっているなというのは感じます。
上村:私もその考えは本当にその通りだと思っていて大事にしています。私も30歳ぐらいの時に仕事でメンタル壊してしまった事があったんですけど、回復した時に「興味ある事はしないと勿体ない」と思いました。それまでは「興味あっても自分にはできない」とか「行動するのが怖いな」っていう感情ばかりだったんですけど、「本当に興味があったらやってみよう」と思って初めて一人旅をしてみたり、一人旅同士で集まって飲みに行ったり、それからスキューバダイビング始めたり、水中で写真撮ることに興味出たり、フルマラソン走ったり、どんどん興味あるものをしていくとそこで色々な人と出会って点と点が線になって、最終的には資格の勉強に結びついて、そこから更に色々な学びの場に出て瀬川さんとも出会う場に出会ったり、ワークショップを学ぶ場に出たりしました。そしたらそこで更に色々とつながって、自分が新しいサービスと価値を提供するアイデアになったりして、今まさにこのようなインタビューもさせていただいています。
興味ある事に対して動き出す。それに対して意味付けをする。あとは謙虚、感謝を大事にしていくと、人生うまいこと行くばかりではないけど、概ねうまくできるのではと思ったりします。
瀬川:そうそう、本当に動いた分だけ縁がつながっていくみたいな感じはしますよね。
だから恐れずに色々な人と出会って、たまに騙されたりすることもあったりするかもしれないけど、それも何か糧になりますよね。こういう人は危険なのだとかっていうのも体験してみないと分かんないから。でも取り敢えず面白そうだなと思ったことは全部やってみたらいいですよね。
上村:やってみる事でアンテナも張ってくるし、危機察知能力強くなってくるし、つながりも大きくなってきたら色々情報も知っている人とも出会えて、自分の鎧や武器が出来てくるなとも思いますしね。行動すること大事ですよね。当たり前の話かもしれないけども。
瀬川:ほんと当たり前すぎちゃって若い人にはもう「耳にたこだ」って言われそうなのだけど。
上村:でも行動しようとしてもその行動を止めているものがあって、それが本当に外れないとか、行動しようにもその選択肢が見えていない、知らないとかね。そこを何かお手伝いしていけたらなんてことを思っています。
瀬川:まずね。やりたいことを口に出すことですよね。
上村:そうなんですよね。口に出したら結構助けてくれますからね。
瀬川:そう。誰か助けてくれたり、紹介してくれたりということが起きるんですよね。「これやりたいんだよね」っていうのを言っていると「俺じゃあそういう知り合いいるよ」とかって情報が集まってくる。仲間同士でだってそういうこと起きるかもしれない。
上村:私も今こうやって皆さんにインタビューさせてもらっていますけどこれも口に出した事で瀬川さんも協力してくれましたし、他にも多くの方に賛同してくれました。そして今回もそうですけ、とても贅沢な時間だなと思っています。色々な価値観や行動のヒントもらえたりして、とてもありがたいなと思っています。でもこれって行動、発信したからなのだろうなって思います。だから点と点が線になったんですよね。
瀬川:お得ですよね。こうやって行動しているから展開しているわけで、行動しなかったら何も起きないですものね。
上村:そうなんですよ。自分が行動して発信したら賛同してくれたり、応援してくれたり、嬉しい言葉をかけてくれたりばかりで、それで自己肯定感とかもあるし。ありがたいです。
瀬川:素晴らしい。もうその生き方そのものを若い人に見せてあげてください。
上村:そうですね。ありがとうございます。
こうしてお話をさせてもらったり、行動をしていたりすると自分の言葉と行動を一致させていかないといけないと本当に思います。出来ていない事もたくさんあるので人に伝えるのであれば人に伝えている事は自分が実践できるようにならないと思います。
瀬川:なるほどね。そうですよね。でも色々なタイプの人がいるからある人にとってロールモデルになれたらいいなっていうのは感じますね。こんな生き方している人もいるのだって。ああいいなぁ、そんな生き方したいなって思われる人でいたいなっていうのは思いますね。
若い人にこんなおばあちゃんでも頑張っているよと。私60代最後なんですよ。69歳になったんです。
上村:瀬川さん本当に若いです。え?来年70歳?信じられないっていう感じです。
瀬川:年相応で別にいいのだけど、年齢に関係なく気持ちは前向きな人でありたいなっていうのはいつも思っています。
70歳でも大丈夫よ。こういう風に講師の仕事まだできているわよっていうロールモデルになれればいいなって。後はできるかわかんないけどやっぱ客観視もしたいなとは思っています。何か話がくどくなったり、滑舌悪くなったりしたら、もう講師とかあんまりできないのかなって。それは自覚したいなっていう気持ちがあります。定年をきちんと自分で決めなきゃなみたいな。それがいつ来るのだろうっていうのがちょっとまだ見えない。まだ大丈夫かなっていうふうに思っているのだけどそういう自分を客観的に見て老害にならないように気を付けています。
上村:それは大事ですよね。本当に。
瀬川:私は自分が講師をしている時の自分のビデオ見ていますよ。話がくどくなってないかなとか、分かりにくい喋り方してないかなとか、話し方の癖出ちゃっているなって気をつけなきゃとか、嫌だけど戒めに見ています。
上村:本当にいつまで経っても日々成長ですよね。先ほど「ある人にとってのロールモデルになれたら」という言葉がありましたが、私も最近、とある講座で講師の方が「皆さんのご経験やお話が絶対に必要としている方はいているのでその人に届けてください」という事を仰っていました。その講師の方を見ても「すごいな、この人。こんな風に多くの人に影響を与えられていてすごいなと思ったりもしましたけど、その人には伝えられないメッセージが私には伝えられたりもするだろうし、そういう心を持っておくことって大事だなというのは最近感じています。ですので、私もこうやって沢山の素晴らしい人生を聞かせてもらっていますが、多分昔の自分でしたら人と比べて「皆さんすごいな」「自分はちっぽけな人生だな」と思ったかもしれないですけど、今はワクワクしか出てこないというか、この人生を伝道できる人になれてきている自分を感じていて、それも自分の生き方なのだろうなって思えてきましたね。
瀬川:素晴らしい。
上村:本日はありがとうございました。
瀬川:いいえ、こんなお話でよかったでしょうか?
上村:若者だけではなく、様々な人間関係に悩まれている人たちにとって多くの学びと気付きがある話だと思います。本当にありがとうございました。
インタビューを通じて
私と瀬川さんとの出会いは2021年、オンラインゼミの場で知り合いました。関係性が深くなったのは2022年の春頃から研修の仕事でご一緒させてもらうようになってからでした。その時から物腰が柔らかい素敵な女性。しかし、思った事をきちんと伝えてくれる方という印象でした。
インタビューをさせていただき、一番に感じた事は「失敗」の力でした。失敗をしても、そこに本気で向き合ったからこそ点と点が繋がり、本に出会って娘さんとの関係性が修復されたという実体験はとても深いお話でした。
そしてもう1つ感じた事は、言葉の定義や根底にある考えをしっかりとお持ちで説明する能力が高いということでした。講師として長年ご活躍なので当たり前かもしれませんが、人に教えるという体験によって体に染みつきご自身の言葉になっているという印象を受けました。
一方通行ではない、相互理解のコミュニケーションを意識しながら行動をする事で良い縁に恵まれる。そんな事を瀬川さんとのインタビューで学ばせていただきました。
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