2001年に「天体観測」で一躍有名になったバンド”BUMP OF CHICKEN”
2023年4月3日の夜に”関ジャム”というTV番組で特集されていました。
何となく見ていたのですが、ボーカルの藤原基央さんのインタビューの一節が非常に心に残りました。
BUMP OF CHICKENは2023年で結成して27年になるようです。ヒットしたのが2001年ですが近年でも2021年にはNHK連続テレビ小説の主題歌になったり、天体観測が2022年に車のCMに採用されたりと長年に渡り、聴衆を魅了しています。
さてその関ジャムの中でのインタビューでこのような質問がありました。
「長年に渡って楽曲を創作し続ける理由や根源となるエネルギーは?」
その際に藤原さんはこのように話をされていました。(記憶の中で書いているので一言一句一緒ではありませんのでご了承ください)
結成したばかりの時はコピーバンドでGreen DayやNirvanaのコピーをしていて、そこからデタラメな英語の歌詞を当てて、「っぽい曲」を作って仲の良い友達に聴いてもらった。そしたら「いいじゃん!」という感想をくれて嬉しかった。
初めてオリジナル曲を作ったのは16歳、17歳の頃。その曲が「ガラスのブルース」
それをまた友達に聴いてもらった。無言でじっくりと聴いてくれた。その後に「巻き戻してくれない?」と言われた。(当時はカセットだった)
いつもは「いいじゃん」って言ってくれるのに言ってくれなかったのであんまりだったのかなと不安になった。でもその後6分くらいある長い曲なのに無言で目を瞑りながら聴いてくれていた。
そして聴き終わった後に「お前ってこんな事考えてたんだな」と一言発したのち、彼が将来の夢とか自分の事を語りだした。
その時、「あっ、これが伝わるってことなのか」と思い、その感覚がとても嬉しくて今でもそれが原動力なのかもしれません。」
関ジャム 2023年4月3日放送分より引用
そしてその後スタジオに映像は戻り、スタジオにいる緑黄色社会のギターの小林壱誓さんがこうお話されました。
「デビューして藤原さんに会う機会があった。その時に絶対に伝えたい事があった。自分は1996年2月11日生まれで、実はその日がBUMPの結成日だった。その事を伝えたかった。そして伝えた時、藤原さんが「僕が一番会いたかった人だ」と言われた。それから考えていたけど、彼は自分が良い影響(夢や何かのきっかけ)を与えられることに喜びを感じて、そんな人に会えることが喜びなんだなと思った。
関ジャム 2023年4月3日放送分より引用
27年前に1人の友人の心を揺さぶり、そして楽曲を書いた当人の人生を動かした楽曲、「ガラスのブルース」の歌詞がこちらです。当時16歳の藤原少年が書いたものです。
ガラスの眼をした猫は唄うよ 大きな声で りんりんと
ガラスの眼をした猫は唄うよ 風にヒゲをゆらし りんりんと
声が枯れたなら川に行こう 水に写る顔をなめてやろう
昨日よりマシな 飯が喰えたなら
今日はいい日だったと 空を見上げて笑いとばしてやる
ああ 僕はいつも 精いっぱい歌を唄う
ああ 僕はいつも 力強く生きているよ
ガラスの眼をした猫は唄うよ お腹が空いても りんりんと
ガラスの眼をした猫は唄うよ 生きてる証拠を りんりんと
ガラスの眼をした猫は叫ぶよ 短い命を りんりんと
ガラスの眼をした猫は叫ぶよ 大切な今を りんりんと
生まれて来た事に意味があるのさ 一秒も無駄にしちゃいけないよ
嵐が来ようが 雨が降ろうが
いつでも全力で 空を見上げて笑いとばしてやる
ああ 僕はいつか 空にきらめく星になる
ああ その日まで 精いっぱい歌を唄う
声が枯れたなら川に行こう 水に写る顔をなめてやろう
生まれて来た事に意味があるのさ 一秒も無駄にしちゃイケナイ
だから僕は歌を唄うよ 僕はいつも歌を唄うよ 僕はいつも歌を唄うよ
ボクはイマをサケブよ
ガラスの眼を持つ猫は星になったよ 大きな声も止まったよ
命のカケラも燃やし尽くしてしまったね 得意のブルースも聴けないね
だけどオマエのそのブルースは 皆の心の中に刻まれた
これからツライ事がもしあったなら 皆は唄いだす
ガラスの眼を持つ 猫を思い出して
空を見上げて ガラスのブルースを
ああ 僕はいつも 精いっぱい歌を唄う
ああ 僕はいつも 力強く生きているよ
ああ 僕の前に クラヤミがたちこめても
ああ 僕はいつも 精いっぱい歌を唄う
ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN
今回のこのエピソードも「ナラティブ」に溢れているなと感じました。
前回のブログで「ナラティブカンパニー-企業を変革する「物語」の力-」から「ナラティブにはそれを見聞きした人々がその物語に共感や感化もしくは反発し、それぞれの物語が生まれる。」とお伝えさせていただきました。
再びこちらの書籍からナラティブの3つの特徴について引用します。
- 演者:伝い手だけでなく、あなたもナラティブの中の1人
- 時間:完結しておらず、現在進行形
- 舞台:社会全体
まずは演者という観点で考えてみます。
27年前の出来事に目を向けると
ナラティブの主体:ガラスのブルースという曲
演者:藤原基央・その友人
生まれたモノ:2人の本音の対話、藤原氏の原動力
関ジャムという番組に目を向けると
ナラティブの主体:BUMP OF CHICKENの特集番組
演者:BUMP OF CHICKEN、スタジオにいる出演者、視聴者
生まれたモノ:それぞれの視聴者の中での様々な思いと行動
時間という観点では、その場で完結しているものではなく過去と今と未来を行き来しながら現在進行形で何かを考えるきっかけになっており、舞台という観点でもTVやこのような記事で共有する事で、個人的な課題やテーマから「対話の重要性」や「伝わるとはどういうことか」といった「より社会的なテーマ」に昇華されるのではないかと思います。
私自身、4月1日に「講師とは目の前の方に影響を与えることができる人」つまり「講師=リーダーである」という言葉を聞き、心に響き残っていました。お客様の前で研修やコンサルティングをさせてもらう機会が今後増えてくる中でそれがどういう事か、この「ガラスのブルース」のエピソードから強く感じました。
ああ 僕はいつも 精いっぱい歌を唄う
ああ 僕はいつも 力強く生きているよ
ガラスの眼を持つ猫は星になったよ 大きな声も止まったよ
命のカケラも燃やし尽くしてしまったね 得意のブルースも聴けないね
だけどオマエのそのブルースは 皆の心の中に刻まれた
これからツライ事がもしあったなら 皆は唄いだす
ガラスの眼を持つ 猫を思い出して
空を見上げて ガラスのブルースを
ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN
何もこれは歌手等の人前に立つ有名人だけに当てはまることではなく、仕事をしている多くの方が「人の心を動かし、感動を与えたり、その人の未来をより良くする影響を与えるという事」に携わっているのではないでしょうか。
目の前の事に精一杯に取り組むこと、そしてその事がいつしか他の誰かの心を動かして、その誰かがどこかで人の心を動かしていくのではないかと思います。
そんな事を27年前の16歳の少年に教えてもらった気がします。
ちょっと感情的な観点で書いてしまったので今後改めて「組織開発」「チームビルディング」の視点でロジカルに整理して記事を書きたいと思います。このままだとかなりボリュームが大きくなってしまうので。。
本日は長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。