皆さん、複数回プログラムの研修や社会人スクールに通った際に「ニックネームで呼び合ってください」と初回から主催者側に言われた事はありませんか?
その時どう感じられましたか?
「えっ、何それ??このノリ苦手…」
「なんで初めてあった若造からニックネームで呼ばれなくちゃいけないんだ!」
といった印象を受けた方も少なからずおられるのではないでしょうか?
この数年はそのような場所に参加することも多く、ニックネームで呼び合うプラスの効果も実感しているので私は違和感もないですし、逆にそういった場を創っていただける事が嬉しく感じています。
社会人になってからのニックネーム呼び初体験
私にとっての最初のニックネーム体験はいつだったかな・・
と思い返してみました。
遡る事、11年前の2012年の頃でした。
趣味でスキューバダイビングを始めてみよう!と思いインターネットで住まいの近くのダイビングショップを検索して一番上に出てきたところに電話をさせていただき、ライセンスを取得しました。そこから数年間お世話になりました。
ライセンスを取るために2日間の泊りの講習が必要でした。スタッフさんの車で研修場所まで移動するのですが、スタッフさんから「みんなから何て呼ばれてます?」と質問を受け、自分の学生時代からのニックネームをお伝えしました。
それからは年下の若いスタッフからもニックネーム(さん付けなし)で呼ばれ、最初は「ん?」と違和感があったのですが、いつの間にか気にならなくなりました。
研修や学びの場でのニックネーム呼び初体験
この初体験は2018年でした。全10回(月2回×5ヶ月)のスクールで、初回入室するやいなや名札に名前の記入してくださいと案内され、記入例には「本名+ニックネーム」
「はいはい、このパターンね」
と少し免疫がついていた私はそこまで違和感なく記入し、皆さんとそれから良い時間を過ごせました。年齢も経歴も様々な方々がおられましたが今でも色々な事を相談できる素敵な仲間としてお付き合いさせていただいています。先ほどのダイビングショップの友人も年齢・経歴も様々ですが同様に長いお付き合いをさせていただいています。
違和感を感じるのはなぜ?
違和感を感じられる方は、生い立ちや今の所属されている組織での立場や経歴等によって植え付けられたご自身の価値観によるものもあるかと思いますが、その辺りを話すると複雑な問題になってきますので今回は触れないでおきます。
もう1点、違和感を感じる理由として「明確な意図」を伝えられていないからという事もあるかと思います。
人にはパーソナルスペースといった距離感があります。それは物理的な距離感もあれば精神的な距離感もあると思います。このいきなりニックネームで呼ばれるというのはそのパーソナルスペースに土足で上がるようなものだと感じる人もいるかもしれません。
ただニックネームで呼ぶ意図を伝えるとどうでしょうか?
「ニックネームで呼び合ってもらいたい。それはこういった理由からなんですよ」と
重要性の平板化
先ほど、私のダイビングの場、研修の場での事例を紹介させていただきましたが、結果として良い効果が出ていました。その効果とは「組織内のような利害関係のないフラットな関係性の構築が出来たこと」「それによる安心感や組織や家庭では出来ない体験や学び」でした。
ただ振り返ってみると、事前にニックネームで呼び合う効果や意図を伝えられた事はなく結果論として自分が感じた事でした。(もしかすると意図を紹介されていた事もあったかもしれませんが記憶にないので軽く流す程度に話をされていたのかもしれません)
私は現在ワークショップを学ぶ場に通っているのですが、こちらでも「ニックネームで呼び合う」という事が初回から案内されました。
しかし、今回はその意図について丁寧な説明をいただけました。
私が先ほどから事例として挙げているダイビングショップや研修、スクール等は俗にいう「サードプレイス」と呼ばれる場所です。いわゆる家庭でも職場や学校でもない「第3の場所」です。
このサードプレイスに求めているものの1つに「組織から離れたリラックスした体験」「利害関係のないフラットな関係性」を考えている人も多いのではないでしょうか?
実際にこのようなサードプレイスで年齢・性別・出身地・組織内での立場・実績などに囚われない関係性を構築・体験され、それが今の何よりの財産になっている方もおられるのではないでしょうか?
このフラットな関係性の構築を「重要性の平板化」とワークショップの学びの場で講師の方はおっしゃっていました。それぞれの属性(年齢・性別・役職・・・・)のそれぞれが感じている重要性を平らな板のようにするというイメージです。
年上で社会的にもかなり成功されていたり、組織内で重職につかれて活躍されている方にはついつい気が引けてしまいます。そのような人に「ニックネーム呼びの縛り」がなければおそらく「苗字呼び+さん付け」で呼ぶ人が多いでしょう。人によっては「〇〇(ニックネーム)で呼んでください」と言われる方もおられるかもしれませんので、そう言っていただいたら呼びやすいかと思います。しかし、運営側が案内していないと人によってはニックネーム、人によっては「さん付け」といったバラつきが出てしまい、関係性の濃淡やいらぬ気遣い(あの人だけさん付けで何か距離感・違和感あるなぁといった感情)が生まれてしまうのではないでしょうか。
それを運営側が冒頭に皆に統一して実施いただくこと、それを名札やオンラインの登録名に明記してもらう事で「この場では役職や年齢等関係ない、フラットな関係です」という事を可視化するという効果が生まれます。名札や画面に表示された名前を見る事で「視覚」に、ニックネームで呼ばれる事で「聴覚」に訴えられ、頭の中に「相手とのフラットな関係性」が自然と刷り込まれていきます。
意図は伝えないと伝わらない
「サードプレイスではフラットな関係を!」と言っても中々難しい。
役職や年齢などの壁を外す第一歩としてこの方法は理に適っていたのだなと理解する事が出来ました。
自分の当たり前と思っている事も相手にとっては当たり前ではない事は多々あります。
コミュニケーションエラーが起こっている関係性があればあなたが持っている意図をしっかりと伝えてみてはいかがでしょうか。